産業と文化の交わる拠点「ソニックシティ」の挑戦
コロナ禍は観光などの産業に深刻な打撃を与えたとともに、音楽芸能といった文化活動に大きな制約をもたらした。人々の生活を支える産業の振興と同時に、時には生きる活力を与えてくれる文化の振興を図ることが今まさに不可欠である。私が勤務する財団は、埼玉を代表するコンベンション施設「ソニックシティ」を効果的に運営し、産業・文化の振興と国際交流の促進を図るため昭和62年に設立された。コロナからの出口戦略を模索する中で、当財団としても設立趣旨に則った果敢な挑戦をすべきと認識している。
アニメ、eスポーツそして高校生によるダンス。これらは、近年、当財団が多様な関係者と連携しながら、自主事業として企画・実施してきた事業分野である。今年9回目を迎えるアニ玉祭は全国のアニメファンから注目される恒例イベントに育ち、市場規模の成長が著しいeスポーツはソニックシティを会場として世界大会まで開かれた。次期オリンピックの正式種目となったダンスに関しては、高校生らによる発表の場としてのイベントを開催した。
これらの取り組みと並行して、財団設立当初から質の高いクラシック音楽を県民の方に提供することを主眼とした事業も実施してきた。著名な指揮者などを招聘(しょうへい)し、日本フィルハーモニー交響楽団とタッグを組み実施している定期演奏会は間もなく130回を迎え、毎回、大勢の皆さまにご来場いただいている。
引き続き、長く受け継がれる伝統的な文化から、時流に沿い広く大衆に受け入れられるサブカルチャーまで多様性のある取り組みを心掛けていく。年齢、性別さらには国籍を問わずあらゆる方がソニックシティに集うことで交流が生じ、新たなビジネスチャンスや地域の活力が育っていくことを期待する。
一方、当施設は大宮駅から徒歩3分という抜群のアクセスを誇り、2500席を超える大ホールから大小の会議室、多目的な用途に対応する展示場まで備え、あらゆるニーズへ的確に対応できる。コンサートや商談会、学会あるいは試験会場などとして使われており、リピーターも多い。自主事業で培ったノウハウも生かし、施設の有効活用のご相談や関連事業者のご紹介などお客さまの立場に立った親身な対応を心がけている。
昨今、ともすれば行動の抑制が求められ窮屈に感じる場面もある。
今後も、一人でも多くの方が笑顔で「ソニックシティへ行って良かった!」と感じていただけるよう、職員一同が全力で取り組んでいきたい。
島田氏